新しい太陽周期の始まりか?

2008年 1月 1日作成 宇宙天気ニュース 篠原 学


2007年12月中旬に見られた太陽の磁場分布の様子から、
太陽で新しい活動周期が始まったのではないかと言われています。

宇宙天気ニュースで、12月26日に掲載した次の動画を見てください。

SOHO MDI Magnetogramより


これは、SOHOが撮影した、太陽面の磁場の分布です。
白はN極を、黒はS極を表しています。
写真の上の方に見える、小さなふたつの磁場のかたまり(白と黒が濃くなっている部分)が、
今、注目されている部分です。


太陽の黒点は、約11年の周期で増減するという性質を持っています。
次の図は、上から、黒点相対数、Cクラス以上のフレアの年間発生数、
フレアが発生した緯度の分布を示しています。

データ提供 : NOAA。作図 : 宇宙天気ニュース


一段めのグラフを見ると、黒点数が10〜11年ごとに増えたり減ったりしていることが分かります。
黒点の増減は、太陽の活動度に大きく影響します。
二段めのフレアの年間発生数を見てください。
黒点数の変化にほぼ一致して、フレアの数も大きく増減しています。
少ない年は100回以下なのに、多い年は3000回前後も発生しています。
少ない年は3日に1回、多い年は1日10回と考えると、その差は歴然です。

フレアの発生位置は、黒点群の発生位置を示していると考えてください
新しい太陽周期が始まる時、黒点群は南北それぞれ緯度30度付近に出現します。
太陽周期が進むにつれ、黒点の出現場所は次第に低緯度へ動きます。
活動が最も盛んな頃は緯度15度付近に発生し、
最後は5度付近に発生するようになって、ひとつの太陽周期が終わります。

2007年は、まさにこの最後の時期で、黒点数はとても少なくなり、出現場所も赤道付近でした。

データ提供 : NOAA。作図 : 宇宙天気ニュース


上の図は、2000年以降の黒点相対数の変化です。
2007年は、もうこれ以上下がり様がないところにまで下がっています。
このことから、現在の23期は終わりに近づいたと考えられ、
新しい太陽周期(24期)の始まりを待ち構えていたのです。


新しい太陽周期が始まると、もうひとつの変化が見られます。
それは、太陽の磁場分布の切り替わりです。

黒点など、太陽面に強い磁場構造が現れるとき、一般的にはN極とS極が横に並んで現れます。
磁場の写真で見ると、N極は白く、S極は黒く写っています。
この色の順番は、ひとつの太陽周期の間は決まっていて、
現在の太陽周期である23期の場合は、北半球では[黒白]、南半球では[白黒]の順番に並んでいました。

この磁場の順番が、太陽周期ごとに南北両半球でそれぞれ逆向きに切り替わるのです。
黒点の増減の周期とともに、太陽の磁場の極性も、
[白黒]→[黒白]→[白黒]→[黒白]・・・と22年周期で切り替わっているのです。

SOHO MDI Magnetogramより


上の写真の、A、Bの磁場のかたまりを見てください。
Aは北半球にあり、極性の順番は[黒白]となっています。
これは、現在の太陽周期の性質と一致します。
一方、Bの極性は[白黒]となっていますが、これは南半球にあるためで、
極性としては、こちらも現在の太陽周期に合っています。

問題は、Aの上に見える、Cという磁場の強まりです。
Cは、北半球に見えていますが、極性が[白黒]となっていて、Aとは反対です。
この並びは、次の太陽周期、24期に見られるはずの順番です。
このことから、既に新しい太陽周期(24期)が始まったのではないかと考えられるのです。


ただし、この磁場の強まりに黒点は見られませんでした。

SOHO MDI Magnetogram, MDI Continuum, EIT 195より

上の写真は、磁場、可視光、極端紫外線の太陽写真を並べたものです。
磁場が強まっている部分に対応して、まん中の写真に黒点は見えていません。
右側の極端紫外線の太陽コロナ写真では、明るく光っています。


従って、新しい太陽周期の開幕による、黒点の中緯度側へのジャンプは、これからのお楽しみです。
次の写真は、現在の太陽周期23期の始まりにあたる、2007年12月の太陽黒点の分布(左)と、
太陽周期の終わりに近づいた、2007年1月の太陽黒点の分布(右)です。

北緯30度
赤道
南緯30度

黒点の出現緯度が、明らかに変わっています。
2008年からは次第に、左の写真の様に中緯度寄りに黒点群が出現するようになるでしょう。
その日が始まるのを楽しみに待ちましょう。


最後に、次の図で24期の変化を予想してみましょう。

データ提供 : NOAA。作図 : 宇宙天気ニュース


上が黒点相対数、下がCクラス以上のフレアの年間発生数の予想グラフです。
予想と言っても、前の3周期を重ねただけで、何の根拠もありませんが、
今後の展開を想像するには十分でしょう。

新しい太陽周期が始まると、2年めくらいから太陽黒点とフレアが大きく増加します。
ですので、太陽が活発になるのは、2009年からになりそうです。
そして、2011-13年あたりが最大の活動度となりそうです。

次の太陽周期が非常に活発になるのか、とても穏やかになるのか、予想はいろいろ出されています。
しかし、今のところ、確実に予想する方法はなく、実際になってみなければ分かりません。
息の長い話ですが、これから4-5年かけて、太陽活動の上昇期を見て行きましょう。
どうぞのんびりとお付き合いください。



英語のページですが、新しい太陽周期の始まりを知らせる海外のWebページを紹介します。
どうぞご覧下さい。

Solar Influences Data Analysis Center - SIDC, Royal Observatory of Belgium, 2007/12/13
Welcome to solar cycle 24

SCIENCE@NASA, NASA, 2007/12/14
Is a New Solar Cycle Beginning?



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